テレビアンテナ工事は自分で出来るのか?ここではそんな疑問をお持ちのテレビアンテナ工事を検討中の方に、詳細なやり方や注意点、設置方法を解説していきます。
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- テレビアンテナ工事の全体図と詳細
- 地デジアンテナをDIYで取り付けるやり方と注意点
- BS/CSアンテナをDIYで取り付けるやり方と注意点
- テレビアンテナ工事のオススメ業者
テレビアンテナ工事とは?全体図と詳細
テレビアンテナ工事は、地デジであれば東京スカイツリーや大阪生駒山などの電波塔から、BSであれば衛星から、それぞれ発信されている電波を受信できるよう、宅内環境を整える工事です。
テレビを視聴する為に必要な工事で、アンテナ本体の設置・取り付けやケーブルの取り回し、周辺機器の設置などが工事内容となります。電気工事士等の特別な資格は必要ありませんのでどなたでもDIYは可能ですが、取り付けには正しい知識と技術が必要で、DIYの中でも要求レベルは高い方です。
DIYを検討するにあたって
『インパクトって何?コーキングって何??』
というような、DIY初心者の方にはかなり難しい作業になりますし、リスクもあります。そのような方は素直にプロの業者にテレビアンテナ工事を依頼することをオススメします。
テレビアンテナの設置に必要な資格は無いが……
テレビアンテナを自分で設置するにあたり、通常の施工だけであれば電気工事士等の資格は必要ありません。
但し、アンテナ端子の増設やケーブルの加工など、市販されている商品に手を加えたり、自宅の配線構造を変更するには有資格者である必要がありますので、ご注意下さい。
地デジアンテナを取り付けるやり方
まず、地デジアンテナのDIYについて手順を説明していきます。尚、工事に使う各部品の詳細については下記ページをご覧ください。
地デジアンテナDIY1.自宅の電波調査・設置場所の選定
DIYを行う上でいきなりネックとなるのがご自宅の電波状況の把握・調査です。プロの業者は、まず初めにレベルチェッカーと呼ばれる電波測定器を使って電波の受信レベルを確認し、設置場所を決めていきます。レベルチェッカーは業務用の物となると5万円ほどするため、これだけでDIYより業者に頼んだ方が安くなってしまいます。
地デジアンテナの設置は、電波レベルだけでなくアンテナ本体の利得(電波の受信能力)も関係してきます。本来は、電波状況の測定⇒適合するアンテナ本体の選定、といった順に進めていきますが、レベルチェッカーなど持っていないという方がほとんどでしょう。
地デジ電波の方角取りはそれほど厳密ではありませんが、電波レベルが足りないものはどうしようもありません。アンテナ本体を適当に購入し、いざ設置しても電波が取れずにテレビが映らない……DIYの場合、こうなる可能性は十分あるという点は覚悟しておきましょう。(※電波測定を飛ばす裏技は後述します)
地デジアンテナDIY2.分配器の位置とケーブルの引き込み口を確認
アンテナ本体の設置場所にも関係しますが、まずはケーブルの引き込み口を確認してください。電線やネット回線の引き込み口と同じ場所にあるケースが多いです。場合によってはエアコンダクトを通すケースもあり、その際は穴あけ・穴ふさぎのコーキング加工が必須です。
次に、複数の部屋でテレビを見る場合に必要な分配器の場所も確認しておきます。お風呂場の天井裏に設置されているケースが多く、新築戸建てであれば、分配器からアンテナ端子までの施工は済んでいますので、アンテナ本体から分配器までの取り回しを考えておけばOKです。
地デジアンテナDIY3.地デジアンテナの固定器具を設置
地デジアンテナの種類(八木式かデザインか)と設置場所を決めたら施工開始です。まずは、設置場所に固定用の土台を設置します。屋根上設置+八木式アンテナの工事であれば、屋根馬を設置。外壁・屋根裏への設置であればサイドベース(壁面金具)を固定します。
サイドベースの固定は、先にアンカーを打った上でビス固定します。外壁や柱など、ビスを打ち込む箇所の素材や状況に応じて、必要であればコーキング加工も施します。
地デジアンテナDIY4.地デジアンテナ本体の固定と角度調整
土台が決まったら、アンテナマストを使ってアンテナ本体を固定していきますが、その前にアンテナの角度を決めていきます。どちらの方角に向ければ良いかは、下記のアプリを使って確認しましょう。
八木式アンテナであれば、下記のように拡がっている側を送信局と逆に向けます。
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引用:総務省
デザインアンテナの場合は、平面になっている表側を送信局へ向けます。
尚、地デジの電波は角度がある程度アバウトでも受信しますが、電波レベルが足りるかどうかは通常レベルチェッカーを使用します。レベルチェッカーが無い方は、先にケーブルを繋いで、角度調整をしてはテレビ画面上で確認、といった作業となります。特に屋根上に設置される場合には、乗降を何度も繰り返すのは危険ですので、2名以上での作業をオススメします。
地デジアンテナDIY5.ブースター設置とケーブルの取り回し
アンテナ本体の角度調整が終わったら、必要に応じてブースターの接続・固定工事を行います。ブースターはアンテナ本体と近すぎると電波障害を起こす場合もありますので、特に八木式アンテナの場合は、1メートル以上離して設置して下さい。また、ブースターは電源が必要ですので、どこから電源を取るか、予め確認しておきましょう。
ブースターが設置できたら、ケーブルを室内に引き込み、分配器へ接続します。以上で地デジアンテナ工事の設置は終わりです。
地デジアンテナを自分で取り付ける際、ネックになるのがレベルチェッカーです。本来、これが無いと設置場所を決めることすらできません。ただ、『業者の無料見積もりを利用』するという裏技があります。
これは、無料見積もりで業者に電波調査までをやらせるという物で、見積もり書を入手できれば、その中に必要な部品の型番も含めて記載されていますので、自分でアンテナ本体他、必要な部品を選ばなくて良くなります。設置場所も、電波調査の際立ち会っていれば、分かるでしょう。
ただし!!某DIYサイトで紹介されているこの裏技は、モラルとしてはNGです。当サイトで推奨することはありません。また、その結果発生したトラブルには一切責任を負えません。あくまでもレベルチェッカーを使うか、取り付けに失敗するリスクを覚悟の上でもトライしたい、という方以外に地デジアンテナのDIYはオススメしませんのでご了承下さい。
BS/CSアンテナを取り付けるやり方
こちらはBS/CSアンテナを設置する手順を説明していきますが、その前に一つ注意事項があります。
地デジアンテナとBS/CSを同時に新規設置しよう、という方であれば予めブースター等も4K8K対応の物を選べば問題ありませんが、BS/CSアンテナだけを新規に取り付ける・交換する場合、4K8Kに対応させるのかどうか、予め確認の上、施工しましょう。
BSアンテナDIY1.設置場所の選定
BS/CSアンテナは、地デジアンテナと違い角度調整がシビアです。南西方向に向けて設置しますが、その方向に隣家や高層マンションが無いか、遮蔽物がない設置場所はどこか、最初に確認しましょう。また、予めアンテナケーブルをどうやって引き込むかも想定して場所を決めましょう。
出典:サン電子
BSアンテナDIY2.土台金具の取り付け
BS/CSアンテナは、地デジアンテナとの同時設置であれば地デジアンテナと同じ場所に設置します。BSアンテナ単独であれば、ベランダに設置するケースが多いです。いずれにしても決めた設置場所によって固定する金具が変わります。
- 屋根上 ⇒ BSアンテナ本体をアンテナマストに固定 土台は屋根馬
- 外壁 ⇒ サイドベースをアンカー+ビス止めで固定し、アンテナマストを立ててBSアンテナ本体を固定
- ベランダ ⇒ 土台をベランダに挟み込み固定し、アンテナマストにBSアンテナ本体を固定
このように場所に応じて固定していきます。
BSアンテナDIY3.アンテナケ-ブルの引き込み・接続
BS/CSアンテナの土台が固定できたら、角度調整の前にアンテナケーブルを繋ぎます。
- 1部屋で見る場合……薄型ケーブルでサッシの隙間を通すかエアコンダクトから通してテレビへ繋ぐ。
- 複数の部屋で見る場合……分配器を通す必要があるので、混合器で地デジとBSのケーブルをまとめた上でブースターに繋ぐ
BS/CS番組を見るのが一部屋だけならばケーブルの取り回しは比較的簡単です。一方、複数の部屋で見られるようにするには、混合器が必要だったり、地デジアンテナ本体との距離も考慮する必要があり、かなり手間がかかりますので、施工する前に配線の取り回しもイメージしておきましょう。
BSアンテナDIY4.方角・仰角を調整する
ケーブルをテレビに繋いだら、最後に角度調整を行います。大まかな角度はスマホアプリなどで目安を取り、細かく調整していきながらレベルインジケーターで受信しているかをチェック。電波が取れたら、そのまま角度がズレないよう、慎重に固定していきます。
尚、レベルインジケーターが反応していても、テレビ画面上に映像が反映されるまではタイムラグがあります。最大5分程度待つ必要がある場合もありますので、焦らずじっくりと角度調整を行って下さい。
以上がBSアンテナの取り付け方になります。
テレビアンテナ工事のDIYはリスクが大きい
ここまでやり方を説明した通り、テレビアンテナ工事のDIYは可能です。しかし以下のリスクがあることも覚えておかなければなりません。
- 高所作業の為、落下して大怪我をするリスク
- 台風など自然災害でアンテナが落下した場合に隣家へ被害を与えれば損害賠償となるリスク
- 施工手順を間違えて電波障害・電波漏洩を起こした場合、意図的ではなくても電波法で罰せられるリスク
これらは、DIYが出来る出来ないとは関係なく存在するリスクです。プロに頼むのとDIYでやるのと、地デジ+BSのセットでも金銭的な差は精々2万円程度しかありません。その上、慣れていない方なら作業時間も相当かかるでしょう。そこまでの労力をかけてDIYをするべきなのか、リスクもしっかりと考慮し、あくまでもDIYは自己責任の原則をご理解下さい。