テレビアンテナ工事に電気工事士の資格はいるのか?詳細解説

テレビアンテナ工事を行う際、電気工事士の資格が必要かどうかよく議論となり、その多くで不要となっています。しかし、厳密に言えば資格が必要なケースもわずかにあります。では何が出来て何が出来ないのか、解説していきます。

テレビアンテナ工事のシーン別資格の要・不要

では、早速テレビアンテナ工事をする上で、どのような場合に資格が必要で、どのような場合に不要なのか、見ていきます。

  • テレビアンテナ本体の固定・設置 ⇒ 不要
  • ブースターの設置 ⇒ 不要
  • 分配器の設置 ⇒ 不要
  • 混合器・分波器の設置 ⇒ 不要
  • ケーブルの単純接続 ⇒ 不要
  • アンテナ端子への単純接続 ⇒ 不要
  • ケーブルの加工接続 ⇒ 必要
  • アンテナ端子の変更・加工 ⇒ 必要

このようになっています。テレビアンテナ工事をする上で必要な部品というのは、全てホームセンター等で市販されていることからも分かるように、それらをそのまま設置・使用するという限りにおいては電気工事士の資格は一切必要ありません。

ただし、ケーブルやアンテナ端子を何らかの理由で加工しなければならない場合に、電気工事士の資格が必要になるのです。その為、新築戸建てなどでアンテナ端子の新規設置が必要な場合、電気工事士の資格が必要となり、ハウスメーカーや工務店がそこまで仕上げた上で顧客へ引き渡す形となっています。

電気工事士法のアンテナ工事に関連する条文

電気工事士法第三条
第三条 2項 第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。引用:経済産業省

電気工事士法第三条では、上記のように定められています。ポイントとなるのは、工作物、という点。テレビアンテナ工事は基本的に既存の製品の固定・接続であって、工作ではない、というのが一般的な認識です。また、下記も関連条文です。

電気工事士法施行規則 第二条(一部抜粋)
電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業

電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業

配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)引用:経済産業省

テレビアンテナ工事で関連するのは主に電気が通るケーブルの接続部分ですが、市販の部品類は全て加工が必要ないよう出来ている為、原則として資格は必要ありません。

テレビアンテナ工事の無資格施工に罰則はある?

前述の通り、電気工事士の資格が必要なケースも厳密に言えばないわけではありません。下記がその一例となります。

  • BSアンテナを追加しようと思ったら室内のアンテナ端子が1つ(地デジ用)しかなく、アンテナ端子の増設工事をした、といった場合です。
  • 市販のケーブルが長くて邪魔だから、途中を切って繋ぎ直して短くした

万一、このような作業を無資格で行っていたら、罰則として30万円以下の罰金か1年以下の懲役が科せられます。

捕まる可能性はあるの……?

とは言え、正直に言えばこのような宅内で行われる作業の一つ一つを警察がチェック・監視できるわけもなく、テレビアンテナ工事に関して言えば、無資格施工をしたところで99%問題ない、というのが現実でしょう。

とは言え、決して無資格施工を推奨してるわけではありません。あくまでも、出来る作業・出来ない作業をきちんと知った上で、中には電気工事士の資格を持たなければやってはいけない事もある、ということは覚えておきましょう。

結論:テレビアンテナ工事に資格は不要だが、ダメな作業があることも知っておこう